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シリーズ海の写真3

京都シリーズもスタートしたため、海の写真が少しお休みになっていましたが、第三弾をお送りします。今回は撮影地が稲村ヶ崎限定です。今から20年以上も前でしょうか、稲村ヶ崎で夕景を撮ろうと日没の1時間ほど前に到着すると、何十人もの人がすでに三脚を立てていて、入り込む隙間がないのでびっくりしました。先客に聞いてみると、みんな14時頃には場所とりにきているということでした。仕方なく早い時間から何回か場所取りをして撮影しましたが、やがて材木座中心に撮影するようになってしまいました。それほどの人気ですから、鎌倉周辺の海で一番多くの人が撮影している場所だと思います。昨年の秋から久しぶりに稲村に再挑戦をしていますが、一番大きな理由は、かつてほど人が集まらなくなったので、撮影しやすくなったからです。もうひとつ、材木座に偏り過ぎたという反省もあります。ただ、何を撮っても定番風に感じられてオリジナリティを出しにくいので格闘しています。

15稲村ケ崎昇陽817

1枚目は稲村をシルエットにした昇陽風景。海というととかく湘南イメージを思い浮かべますが、古都鎌倉の側面から見た稲村では、新田義貞が鎌倉攻めに際して海に黄金の太刀を投げ込んだという伝説が思い浮かびます。私の中ではこの黄金の太刀と朝日の黄金色がカラーシンクロしていて、あまりロジカルではないのですがこれが定番中の定番と思っています。どうしても古都写真家は歴史話に引っ張られて撮影してしまいます。

16稲村ヶ崎夜景200108_003

ほぼ同じような場所から撮影した日没後の写真です。時間帯が違うと同じ場所でもイメージが全く違ってきます。シャッタースピードが極端に遅くなるので、打ち寄せる波の姿が消えてしまって、写真でしか見ることができない独特な風景になりました。そんな狙いの1枚です。

17稲村ヶ崎三日月200121_002

こちらは前作よりもちょっと早い時間かと思えば、実は朝です。日の出前の東の空に三日月がでているのを狙いました。月は出る時間、沈む時間、その場所、月齢などが複雑に絡み合うので、太陽のようにシンプルにはいきません。月齢表を調べながら予定していても、天候にめぐまれなければまた一ヶ月待たなくてはなりません。簡単そうに思えますが意外にやっかいな被写体だと、つくづく実感させられました。ただ、同じような場所から撮影していても、時間帯や天候の工夫次第で結構ダイナミックにイメージの違う写真を撮影できます。

18稲村ヶ崎赤富士200120_002

そして紅富士。夕景と同じくらいか、それ以上に多くの人が撮りたいと思っている風景です。みんな理屈はわかっているのだと思いますが、本当にこんな色に染まるのは年に数回。当然雪が積もっている季節しか撮れませんが、積雪の表情も年によって微妙に違うので困り物です。写真を撮る仲間同士では「今年の雪は不格好だね」などと会話します。

19稲村ヶ崎朝富士山200105_014

同じ朝でも紅富士よりはだいぶ遅い時間帯です。私は源実朝の「大海の磯もとどろに寄する波 破れて砕けて裂けてちるかも」の風景と思っているのですが、ちょっと波が大人しかったかもしれません。すぐ撮れそうに思いますが、一波ひと波、大きさも場所も違うので、撮ってみると波が江の島や富士山に被ってうるさいことが多く、なかなかうまくいきません。この写真はブレ味が気に入っています。

20稲村ヶ崎180111_005

今年の『かまくら春秋』新年号の大扉に使用した写真です。最近の風景写真の傾向からするとちょっと古臭いイメージのアプローチですが、お正月らしい風景です。絶好の天候と光線に恵まれて、松葉の発色がうまくいきました。

21稲村ヶ崎夕照190915_003

そして夕暮れ。富士山周辺に落陽する写真は山ほどありますが、この日は雲間からの斜光がとても印象的でした。長く撮影していると、ただ夕焼けしただけでは平凡かなと思ってしまいます。これが昂じると写真を撮らない人から見ると捏ねくり回した写真のように見えたりもするので、そうならないように注意が必要です。

22稲村ヶ崎夕照191004_016

23七里ヶ浜残照200106_022

江の島と富士山の夕暮れです。海専門の写真家からしたら定番中の定番かもしれません。いつも公園の崖の上から撮影していた私にとっては、砂浜に降りて、寄せた波が引く瞬間に夕空を映し込んでいるのは革命的変化です。風景写真はあるものしか撮影できないのが宿命ですから、なかなか奇想天外にはならず、こういった微妙な変化を極めていくことになります。そして下の写真は江の島が入っていないだけですが、やはり映り込みや空の表情などはその日その日で違ってきます。

24-3A6P0726.jpg

風景写真の世界では絶大な人気のダイヤモンド富士です。鎌倉では風景的にアプローチするとエノシアとのバランスが悪くなってしまいますし、この写真のようにすると記録写真のイメージになってしまうので、個人的にはあまり好きではありません。それでも、撮りたくないのと撮っていないのは意味が違うので、一応は撮影しておいて、この1枚で卒業と思っています。

25江ノ島残照274

この日は雲が多すぎて、とても夕景が取れる状況ではありませんでした。勿論富士山も全く見えませんでした。それでも念のため待っていると、一筋だけあった雲間が真っ赤に染まってくれました。おまけに、富士山もかろうじて顔を出してくれました。駄目元とはこういうことをいうのだと思いますが、自然相手は何が起こるかわかりません。そして、そんな時こそいつもとは違う写真になってくれるので、本当に厄介です。

26稲村ヶ崎夜景161023_004

長年撮影していると、大抵のものはいつか撮ったことがあるような気がしてきます。そこで、朝日や夕日にばかり目を向けがちですが、単純に街路灯と江の島でまとめてみたら、と思ってチャレンジした写真です。これはこれで素敵に感じました。ただ残念なことに、現在は街路灯がもっと味気ないものに入れ替わってしまいました。人工物の入る風景は、年々実用中心の効率主義になっていくのが残念です。

27稲村ヶ崎夜景161023_006

134号線のS字カーブを走る車のヘッドライトやテールランプを遅いシャッタースピードで光跡にしました。夜空を写し込んだ青い海に道路沿いの信号などが映り込んで独特の雰囲気を浮かびあがらせています。稲村からの撮影はどうしても江の島と富士山を入れたカットが多くなりがちなので、たまにはこんなアプローチもしてみます。

28稲村ヶ崎夜景200108_001

当たり前のカットのようですが、実は「湘南の宝石」の撮影は江の島の中やサムエルコッキング苑の中がほとんどでした。これはイベント意識が強いからで、この季節にイルミネーションを利用して新しい夜の風景を撮影しようという意識が低い結果なのだと思います。そんな反省を込めた一枚です。結果論ですが、岩に写り込んだ夜空も素敵でした。
海シリーズはもう一回続ける予定です。STAY HOMEもいつまで続くのか分かりませんが、古都逍遥や鎌倉逍遥など、少しでも外出自粛の鬱々とした気分解消のお役にたてばと思っています。

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ジャンル : 学問・文化・芸術

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haradahiroshi

Author:haradahiroshi
古都写真家・原田寛
鎌倉好き・和文化好きな方々と共に集うサークル「倶楽部 和」を主宰しています。

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