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修二会(お水取り)

3月末に奈良で開催した写真展準備のために、2月の末に現地のプロ(JPS会員)5名との顔合わせのために奈良へ行ってきました。全員が初めてお会いする方々でしたが、とても親切に和気藹々とした雰囲気でさまざまな相談ができました。この時期に打ち合わせを設定したのは、もちろん修二会の撮影も兼ねたいから。2015年に初めて訪れて以来毎年のように撮影していますが、今まではいつも13-15日のクライマックスばかりでした。そろそろ違う時期も撮影しようと、今年は2月末から3月1日までの滞在となりました。この機会にいままでの修二会撮影を振り返ってみます。

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東大寺境内は期間中原則として三脚禁止です。はじめの一歩ということで、その中で唯一三脚が自由に使える場所からの撮影です。二月堂までの距離が遠いのであまり迫力がないことと、良弁杉が画面を二分してしまうのが欠点です。

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そこで翌日は二月堂前の芝生広場に移動して、竹矢来にレンズを持たせての手持ち長時間露光に挑戦。登廊を通過する練行衆と、二月堂から降り注ぐ火の粉との撮影ができました。もちろん夜中に行われる「お水取り」にも出かけましたが、参籠衆が階段を降りてくるところだけで、肝心の閼伽井から水を汲むシーンは手ブレが酷くて問題外でした。

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翌年も様々な撮影をしましたが、一番特徴的だったのは二月堂回廊からの撮影でした。シャタースピードが遅すぎるとブレブレになるし、早すぎると迫力が出ません。さまざま試したうちの1枚です。

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17年は満月に恵まれたので、最初に三脚が使用できる場所から撮影した第二駐車場に戻って、月入りのカットを撮影しました。登廊の下から堂童子をシルエットで狙ったのも新しいカットでした。そして3度目の正直でお水取りもギリギリの状態で撮影できました。デジタルカメラならではの高感度性能も味方してくれたようです。
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何年か回数を重ねると、同じ様な松明の写真以外のシーンにも関心が向いてきます。最初のカットは松明作り。毎日その日の分を昼間のうちに作っていきます。そして、期間中練行衆は1日1回だけしか食事ができないのですが、その食後に生飯(さば)投げをします。鎌倉の禅寺では一人数粒のコメを人数分集めて、まとめたものを鳥などにあげますが、東大寺では二人前のおにぎりくらいの大きさの飯を思い切り閼伽井屋の瓦屋根に向かって投げるので、まるでイメージが違います。投げると待っていたかのようにカラスや鹿が集まってきます。3枚目は閼伽井から水を汲む日の昼前後に閼伽井屋に掛けるおまじないのようなもので、これを最初に見つけた堂童子がもらえることになっています。大体の時間は決まっていても、常に仕事の役割があるので、この時間帯になるとみんなソワソワしているようです。この時に手に入れることができた堂童子がかすかに笑っているのが印象的でした。

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そして大松明一本を長時間露光で撮影するカットだけは関西写真記者会に特別にお願いして、記者席から三脚を使用して撮影。たまたま幹事社の人がJPS会員だったのもラッキーでした。
翌日の11本勢揃いは物に寄りかかっての手持ち撮影です。寄り掛かりやすい場所を確保するために朝7時から1日場所取りです。何年か通っていると、大体何時に場所取りすれば良いかといったこともわかってきます。

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前置きが長くなりましたが、ここからがやっと今年の話です。わざわざメインの時期をはずしたのは、本行前日の準備の模様を撮影したかったから。午前中には期間中に練行衆が使用する湯屋を清めるため東大寺境内にある手向山八幡宮の神職がお祓にやってきます。朝ゆっくりしていて、決定的カットは撮り漏らしてしまいましたが、かろうじて後半部分だけ撮影できました。そのほかにもかなりの量の餅を二月堂に運びこんだり、写真は供花の一つ、センリョウの造花を運び込むところです。その後二月堂裏参道を登ってきた人の桶には「小観音御厨子用」と墨書されています。詳細はわかりませんが、お水取りの中心部分は秘仏の小観音にお供えする閼伽水1年分を汲むこと(なので修二会をお水取りと呼ぶ)ですから、それに関連した桶だと思われます。

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諸具搬入といわれる部分で各練行衆が期間中生活するのに必要なものが納められた行李が別火坊で薫香して清めた後に参籠宿所へ運び込まれます。箱にはそれぞれの紋が描かれています。

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そしてこのシーンが今回一番撮りたかった別火坊入りの部分です。運がよかったのか悪かったのか、雨の中で傘をさしての行列になりました。

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本業前日にあたる29日に雨の中での入浴です。そして、次が初日、3月1日の入浴です。天気が違うとやはり雰囲気も違ってきます。練行衆が脱いだ下駄にも紋が描かれていました。新しいのも、古いのも、練行衆それぞれの歴史が刻まれているようです。

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本行がいよいよ始まる前に行われる「総神所」。二月堂を取り巻く三つの鎮守社を周ります。湯屋に神職がお祓いにくることなども含め、東大寺の仏教は神道と密接で神仏混淆時代の雰囲気が色濃くのこされていることも大きな特徴です。大仏造営に際して宇佐神宮から八幡神が守護にやってきたという歴史が深く関わっている寺院といえます。写真は上から興正社、飯道社、遠敷社の社参の様子で、この順番で巡拝します。この後は、二月堂内で餅や花などを須弥壇に荘厳していきますが、一般には見られません。

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こんな撮影をしているうちに、予定していなかった3月1日も撮影したくなり、急遽延泊することにしました。さすがに松明を撮らないで帰っても良いのかという思いと、コロナの影響で空いていることが撮影にプラスかもしれないと思ったからです。でも、以前にも撮影したことがある回廊からのカットですが、決定的な違いはあまりないようにも思いました。いずれにしても修二会は待ち時間が長いというのが実感です。それというのも、奈良の写真愛好家は、お松明だけでなく、じつに様々なシーを丁寧に撮っているからだろうと感心してしまいます。来年は今年の反省も含めた再撮が主になりますが、それから先は撮影が許可されない五体投地や達陀などになるため、修二会の全貌を撮影できるのはいつのことになるのか見当もつきません。







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ジャンル : 学問・文化・芸術

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Author:haradahiroshi
古都写真家・原田寛
鎌倉好き・和文化好きな方々と共に集うサークル「倶楽部 和」を主宰しています。

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