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シリーズ京都の写真6

昨日に続き京都の写真です。サクラや紅葉の写真は、一度のロケでかなり効率的に撮影ができます。一方、それ以外の被写体は、なかには何かのついでに撮影できるものもありますが、極端にいうとその一ヶ所のためだけに訪れるということもあり、AWAYの写真家を苦しめます。そんな効率が悪いことこの上ない被写体のシリーズです。

花尻の森落椿180406_015

洛中から三千院に向かう途中、目立たない森の中の光景です。京都の写真を撮っている人の間では知られた花尻の森という場所ですが、観光客が訪れることはほとんどありません。タイミング的にはほぼサクラと同じなのでなかなか訪れる時間がまりませんが、効率としては問題ない場所です。幸い雨や曇りがOKの被写体なので、サクラには向かない天候の時に訪れています。

勧修寺カキツバタとキショウブ160511_007

醍醐の花見で有名な醍醐寺のすぐ近くにある勧修寺(かじゅうじ)です。背景が林なので境内らしさは表現できませんが、カキツバタとキショウブ、、スイレンが境内で一斉に咲き誇ります。いつ訪れても拝観者は数組みだけという状態なので、静寂の境内を堪能できます。

楊谷寺アジサイ190620_001

光明寺や長岡天満宮の近くにある楊谷寺です。ものすごく有名ではないかもしれませんが、アジサイの株数がかなり多くて、この季節の撮影地としてはなかなか魅力的。細かいカットを含めるとかなりの写真が撮影できます。

両足院ハンゲショウ190621_020

アジサイとほぼ同じ頃に見頃を迎えるハンゲショウ。場所は建仁寺の境内塔頭・両足院です。日頃は非公開ですが、初夏と冬だけは特別公開されていて、観光客にもかなり人気の寺です。

廬山寺キキョウ180716_005

京都御苑のすぐ東側にある廬山寺。紫式部の邸宅跡で『源氏物語』の執筆地といわれています。花期が夏なので、祇園祭や五山送り火の撮影を兼ねて訪れています。京都でキキョウといえばこの寺か、東福寺塔頭の天得院という感じです。

大覚寺サガギク_013

紅葉撮影を兼ねて訪れても撮影できる年もありますが、基本的には紅葉よりちょっと早い季節がベストのサガギク。嵯峨野の大覚寺に、かなりの数の鉢植えが置かれています。花姿が特徴的ですし、とてもカラフルで魅力的です。嵯峨野一帯を歩いていると、地元の飲食店などにも鉢植えが置いてあり、この地特有のキクであることに愛着を持っていることが伝わってきます。

穴太寺界隈ヒガンバナ190926_008

亀岡の穴太寺(あなおじ)周辺の彼岸花です。私が知っている限りでは、京都で一番彼岸花が咲いている場所ではないかと思います。大河ドラマの影響で明智光秀の地元として注目されている地域です。

八瀬の紅葉14_0011

最後は紅葉になってしまいましたが、最近急に人気が沸騰している瑠璃光寺の近く、八瀬の山紅葉です。比叡山に登るロープウェイの山麓駅の近くでもあります。特に寺社を配置することはできませんが、春のサクラとともに好きな場所の一つで、靄が出ていそうな日に訪れるようにしています。

シリーズ京都の写真5

京都写真界の大御所で私も尊敬している故岩宮武二さん(榎並悦子さんの師匠です)の作品に『京 色とかたち』があります。この写真集が大好きで、そこから刺激を受けて撮影している一群です。仕事上の都合を別にすれば、京都に限らずこのようなアプローチが、私の一番好きな被写体です。


祇園一力14_0009


京のかたちで最初に思い浮かぶのは、祇園一力の外観です。京都を撮影しているプロでここを撮っていない人はいないと思います。基本的には皆さん正面から切り取って絵画の色面分割のようにすることが多いので、ここはちょっと天邪鬼で風景的に造形を捉えてみました。


祇園寸景15_0017


一転して同じ祇園でも、とても渋い被写体です。でも、うまく説明できないのですが垢抜けていて、他の地域とは違うように感じます。控えめながらも装飾センスが優れているうえに、見越しの松が絶妙な役割を果たしています。無名の場所でこのような美を見つけると、それだけで心が震えるような感動があります。


祇園白川巽橋110922


これも祇園の風景を代表する巽橋の通りです。とある雨の夕方、置き燈籠の光が路面に映り込んでいるのではないかと急に思いついて訪れてみると、思った通りの光景になっていました。マンホールの蓋とかき氷の旗が残念ではありましたが。祇園一帯は人口美が凝縮している場所だと、訪れる度に痛感します。


上七軒夜景15_0003


同じ花街ですが今度は上七軒です。ちなみに上七軒を地元では「かみちけん」と読むそうです。七条通りはひちじょうどおり、つまり「し」は「ひ」と発音することが多いようです。被写体は京都特有の路地ですが、これも京都では「ろじ」ではなく「ろうじ」とよむようです。そう、その路地に入り込んで見返したカットで、「北野をどり」の提灯がアクセントです。


竹のれんの家648_1


ここまでくると地元住民と写真をやる人以外にはあまり知られていない場所かもしれませんが、京都を撮る写真家にはマストの被写体です。食いしん坊にはあぶり餅の方が先に思い浮かんでしまう今宮神社のすぐ近くにある民家で、ここの住人が思いついて自作した暖簾で有名な場所です。勝手に竹暖簾の家と名付けています。


二条城170105_032


二条城の唐門の補修が終わった直後、塗りが鮮やかなうちに撮っておこうと訪れた時、庭園で目にとまったカットです。単純に光線が美しかったので撮影したのですが、後で考えてみるとこの庭は小堀遠州作。遠州好みの庭園にはつきものの蘇鉄の藁囲いですから、鶴亀の島や滝石組みとともに、いわば二の丸庭園の象徴の一つを期せずして撮影したことになりました。


平安神宮190414_001


平安神宮中神苑の臥龍橋です。豊臣秀吉が造営した三条大橋と五条大橋の橋脚を廃物利用してつくられています。廃物利用でこの造形美ですから、京都の美意識にはしびれます。名前の通りに龍がうねっているように見える橋を思い切りアップで切り取りました。


宇治川15_0021


宇治大橋の畔でみつけた「芽吹き柳」です。擬宝珠フェチを自認している私にとっては、また新しいアプローチの発見でした。特定のテーマを意識して撮影していると、いつの間にかワンパターンになってしまいがちです。被写体が違うだけでいつも同じアプローチに、自分が飽きてしまいます。そこで、新しいアプローチ方を模索しますが、この過程がクリエイティブで楽しいわけです。


法然院14_022


法然院を撮影に行った帰り道、近くで偶然見つけた関守石です。古都を専門に撮影していると、丸い自然石を用いた関守石は度々見かけますが、四角いのは初めてでした。こういう様式があるのか、作者が思いついた発想の転換なのかは確かめる術がありませんが、本当に京都の人口美は奥が深いと思いました。


伏見稲荷0907


最後は伏見稲荷大社の鳥居です。ここも定番中の定番の場所なので何回も訪れていますが、ある時に祭礼の直前だったのか、鳥居のあちこちに邪魔な提灯が掲げられていました。それを避ける工夫をしているうちに気づいたカットです。いかにも京都らしい紅の色が作り出す、微妙なグラデーションが何ともいえず美しいと思いました。

さて、いよいよ緊急事態宣言の解除も目前に見えてきたような気がします。あす25日が楽しみです。スタート時にお話しした通りのSTAY HOME企画のブログなので、予想通りに解除されれば、明後日の26日までアップして終わりにしようと思っています。あと少しお付き合いください。

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シリーズ奈良の写真4

奈良の写真です。奈良という土地柄は、なぜか朝夕の空気感に独特の雰囲気があります。そんなわけで今回は朝夕の風景を集めてみました。

10大神神社朝1011

奈良は日本が中央集権国家の道を歩み始めた場所です。その経済的バックボーンは稲作でした。そして、その時代から稲作に不可欠な水を供給してくれたのが三輪山です。科学がまだ発達していない当時、どうしてそれを知っていたかは不明ですが、人々はこの山を神と崇めました。これが大神神社(おおみわじんじゃ)の起源で、神道の誕生といっても過言ではありません。そんなわけで、私にとっては三輪山の夜明けは日本の夜明けと重なります。四季を通じて表情の違う写真を撮影している理由です。

17鳥見山朝景787B

ちょうどGWの頃、満開のツツジで有名な鳥見山の朝です。幾重にも重なる山襞の谷筋に朝靄がたなびいてくれます。

16明日香展望1002

こちらは明日香村の展望です。畝傍山の後ろにはこの地域のランドマーク・二上山がみえます。地元鎌倉と違って、明日香周辺では夕方になるとほぼ毎日のようにこんな感じの空気感に恵まれます。

15甘樫丘残照160405_002

同じ明日香村ですが、今度は甘樫丘の展望台から。すぐ目の下の和田池に夕陽が映り込み、奥には畝傍山と二上山が望めます。

13明日香細川棚田1008

同じ明日香村の細川地区。田んぼに水が張られ、早苗が植えられたちょうど今頃、二上山を背景に田んぼの水に夕空が映り込みます。この日は運良く光条もでてくれました。残念ながらこの時期はあまり花に恵まれないのですが、それでもこの光景を撮影したくて、5月末、こお為だけにわざわざ出掛けた時の写真です。

11明日香村夕景957

明日香村の八釣地区からの日没です。鎌倉で富士山の上に太陽が沈むのと同じ感覚で、明日香では二上山の沈む夕陽を地元の人は毎日追いかけています。
以上、朝夕の風景に共通していることですが、熱心な写真ファンを別とすると、これらの場所でこの風景を見ている観光客は基本的に全くいません。せっかく奈良までやってきて、こんな贅沢な風景を見ないで宿でゆっくり朝食や夕食を食べているのは、なんともったいないことだと思ってしまいます。

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シリーズ京都の写真4

昨日に続き京都の写真、今日は紅葉です。

11月神護寺紅葉A  京都581

上野佳子がFBでプロフィール写真に使用しているものの無人バージョンです。三尾にある神護寺の金堂に昇る石段。無人で撮影をしたいので、寺から一番近い宿・高尾観光ホテルに宿泊して、早朝7時から330段の階段を昇ります。雨の早朝ということもあって、無事撮影できました。

三室戸寺紅葉111125_010

京都市内からだいぶ南に降って宇治市。ツツジやアジサイの群生で有名な三室戸寺です。秋には塔のあるイチョウ黄葉が人気の寺です。せっかく鎌倉から秋の京都を訪れても、晴天でなければ撮影できない爽やかな青空入りカットです。

萬福寺イチョウ黄葉171128_008

黄檗宗の本山萬福寺です。写真をやらない人にとっては普茶料理の寺として有名、私も一度は体験したいと思っています。さて、紅葉ですが、一見イチョウ黄葉の写真のようですが、作者の心は手前の影にあります。日本中探しても奈良法隆寺など、ほんの一部にしかない卍の意匠に注目しています。

東福寺紅葉14_0005

そして京都の紅葉といえば東福寺が代表格。通天橋を望む臥雲橋からのカットです。通行の邪魔になるので以前から三脚禁止の場所だったのですが、外国人によるスマホ撮影の大混雑で、まったく通行ができなくなるということから、とうとう撮影禁止になってしまいました。

光明寺紅葉161128_061

そして京都で紅葉の名所といえば忘れてはいけないのが長岡京にある光明寺。春に霧島ツツジが咲く長岡天満宮やボタンの乙訓寺のすぐ近くです。ただ、この寺は京都市内に比べると約1週間ほど紅葉の季節が遅くなります。ここの特徴は落葉なので季節を合わせるのが大変で、アウェイの写真家にとっては困りものです。

二尊院紅葉_001

嵐山から嵯峨野散策で向かう人が多い小倉山のふもと、二尊院です。春にはほぼ同じアングルでサクラや新緑も撮影できる場所です。ただ、写真には写っていない下に長い参道があり、その奥なのでなかなか無人になりません。京都は観光客が多いので、無人撮影にはつくづく苦労させられます。

光悦寺紅葉181121_013

鷹峯にある光悦寺。ここで考案された光悦垣は東山魁夷の『京洛の四季』にも描かれている名景で、京都を代表する意匠のひとつだと思います。なかなか紅葉のタイミングが合わずに苦労しました。今や日本庭園のあちこちで活用されていて、鎌倉でも海蔵寺のほか多くの寺院で見られます。

源光庵紅葉13_017131129

同じ鷹峯で悟りの窓が人気の源光庵です。窓越しの紅葉ばかりを雑誌などでは見ますが、個人的にはこの床紅葉が好きです。京都は寺社の数が多く、有名無名を合わせると見所も豊富なので撮影もキリがありません。おそらく、サクラとか紅葉のようなオンシーズンものはアウェイの私でも百ヶ寺を超えて撮影していると思います。


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シリーズ京都の写真3

久しぶりの京都の写真です。今回は写真集『古都櫻』には掲載しなかったサクラの写真です。


平安神宮2

 

京都といえばベニシダレザクラ、ベニシダレといえば平安神宮。ソメイヨシノよりほんの遅くに開花するこの花は、私的には京都のサクラを代表する風景と思っています。写真集には東神苑・栖鳳池(せいほういけ)の辺りのサクラを掲載しましたが、白虎楼周辺の景観も京都のサクラを代表する風景です。ベニシダレ特有の花色と社殿の朱塗りのグラデーションがとくに印象的です。


仁和寺御室桜603

 

仁和寺の御室桜はソメイヨシノより少し遅れて咲き、背が低いので花を見やすいのが特徴です。工夫すればさまざまな撮影ができますが、何といっても五重塔を入れるのが一番ですから、晴天でないと撮影できません。興醒めの話ではあるのですが、実はこの写真の下部は押すな押すなの混雑で、雰囲気がまるで違います。


十輪寺サクラ15_0012

 

十輪寺のナリヒラザクラです。写真集では本堂の独特な形状の屋根を生かしたカットを掲載しましたが、この写真はお堂の中から見た姿。「三宝普感の庭」といって、立って、座って、寝て、三種類の見方があるといいます。この寺ではお堂の中で寝転ぶのも不謹慎ではないようです。


龍安寺シダレザクラ13_001

 

そして「虎の子渡しの庭」で有名な龍安寺です。石庭といえばここというほど有名です。この庭は、石庭だけでもちろん魅力的ですが、サクラ、新緑、紅葉、雪と季節の美しさを見せてくれます。私も雪以外は撮影できていますが、どの季節に訪れても、この写真にある3石が大好きなのでワンパターンの撮影してしまいます。


渡月橋サクラ190410_008

 

渡月橋周辺から見た雨の嵐山です。写真集では定番の渡月橋を入れたカットを掲載しましたが、ここでは雨の中で靄っていたので山腹だけを切り取りました。天候と喧嘩しても良い写真にはならないので、その日その日でアプローチを変えています。周辺の嘘のようににぎやかな街の雰囲気とは別世界になりました。


平野神社サクラ170404_013

 

最後は京都の花見を代表する平野神社です。写真集掲載の写真とは、わずかに撮影時間が違うだけなのですが、この写真の方が灯籠や提灯の光が回って夜景らしい雰囲気がでています。もちろん写真集の写真には他の表現意図がありますが、ほんのちょっとした違いで出来上がる写真のイメージは随分変化するものです。

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haradahiroshi

Author:haradahiroshi
古都写真家・原田寛
鎌倉好き・和文化好きな方々と共に集うサークル「倶楽部 和」を主宰しています。

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